今日は 川端商店街を通って
博多町屋ふるさと館へ行って見ようと思う。
前回 ふるさと館で博多織を織っている風景は見させていただいたのだが、 博多織そのものに付いて 詳しく触れることはできなかった。
承天寺に由縁があり
現に経済産業大臣指定伝統工芸品に指定さている博多織。
その承天寺では、毎年新作品評会なるものが行われるらしい。

今、通行中の川端商店街。 飾り山がなくなり道幅が広く感じる。
そして 今回。その歴史を 語るのはもうよそう。
今度の目的は ズバリ その手織りの技術。
そこに焦点をあてて 手記にしたいと思う。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
博多織のテクニックを見に行こう
現在 博多織は、機械織りで生産されるケースがほとんどの様だが、
この 博多ふるさと館は、手織りの実演が目と鼻の先で見れる。
これは特筆するべきことだろう。
今日は 休日ということもあり、
混雑を予想していたが、丁度いい混み具合。
職人さんに まず質問させていただいた。
手前の竹細工のようなものは何なのか?

この柄入りの簾のようなものは何だ?
その問いに、とても丁寧に 答えていただいた。
それは 柄をおりなす為の型というかガイドとなるものらしい。
これからの職人さんからの回答は
あくまでも私の思考を通して、専門用語を外しての解釈にさせていただく。
なるべくオリジナルの雰囲気を そのまま伝えたいので感覚的に書いていきたい。
ニュアンスが職人さんの意図するものと若干異なる部分もあると思うが、御了承いただきたい。

この柄の簾が天井の上で機械の中に引き込まれている。
そのガイドとなる板が、天井のジャガード機を通して
また下の方に一周して降りて来ている様だ。
私は目が悪いので、実は この細工そのものが博多織と勘違いしていた。
とんでもない話だ。
そして天井から降りてくる絹の経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を通して
トントンと織生地を締めていくことになる。
織り柄を出す技術がそのものが 簡単なものでないことは
十も承知だが、天井のジャガード機が 博多織りの柄を作り出す
重要な構造になっているようだ。

簾のような物が天井の黒い機械の中を通って出てくる構造に見える。

そのジャガード機から無数の経糸が織機にのびる。
この様な機械が鎌倉いにしえの時代から あったとは
驚くしかない。
ステップ四で平織機を織ってみよう。
職人さんから
「試しに織ってみませんか?」とやさしく言っていただいたので、
少しあまえて 教えていただくことにした。
使わせていただくのは、
こちらの織機。
隣に置いてあった物なのだが、
とても立派な風貌だ。機械だけでも美しい。
こちらの織機は、先ほどの柄が折れるジャガード機と違い
平博多という平織り専用のものになるらしい。
平織りなので均等な縦畝の織物ができる。
たしかに 先ほどの様な 柄のガイドが天井から降りてきていない。
また 縦糸は絹の色糸でこの状態でも美しい。

こちらの織機では、経糸(たていと)が水平に織機に送られる。
織り方は、まず こうだ。
右足を踏んで、縦糸(かけ糸)を綜絖(そうこう)で上下に分けて開き
緯糸(よこいと)を通す道をつくる。

踏み木(ふみき) は4つあるが平織りの為2本づつ紐で結わえてあった。
そして その開いた隙間に、この 杼(ひ)という木製の針を使って 緯糸(よこいと)を通すことになる。
ではゆっくりと見させてもらおう。この杼(ひ)を右手に持って
【その壱】. この杼(ひ)を右手から。
【その弐】. スナップを利かせるように、経糸(たていと)の隙間に杼(ひ)をサッと素早く滑らせるのだ。

上下に開かれた経糸の間を杼(ひ)が滑っている瞬間。
【その参】. その経糸の隙間のトンネルを滑ってきた杼(ひ)を左手で受けめて、
【その四】. すぐに 右手で筬(おさ) を持って 手前にトントンと引き
生地の織りを締めていく形になる。
つまりは 右側から左へと
無数の縦糸が均等間隔にクロスして 開いた隙間に、
横糸を通して 生地を締め込んでいる。
筬(おさ)を手前にトントンと引くこの心地よいリズム。
その音を奏でながら 博多織機と職人さんによる美しい織物は編み出されていくのである。

巧みな足さばきで織機を動かしていく
どうだろう。言葉のセレクトが違う部分はあるかも知れないが、
織り方の大枠のニュアンスは伝わっただろうか。
さらに間近で見る博多織機は?
そうして あらためて博多織機を見てみると
いかに複雑な構成になっているのか思い知らされる。

なんという迫力か。マシーンといいたいレベル
綜絖(そうこう) が先ほどの平織機より多いのが分かる。
織機の前に座るだけで気分が上がりそうな迫力だ。
博多織物を見てみよう
この平織り機に柄編みの機能と技術が必要な物が
先ほどの この織機だ。
博多織りの織り上げる途中のサンプルがある。
光沢が綺麗で、織り上がる途中が光を孕んでグラデーションになっている。
大相撲の階級が上の力士が締めている
光沢のある まわしは よくイメージできていたが、
幕の内以上の力士しか締めることの許されないのが博多織。
ということを知り、それと合致した。

これが博多織りだ。繊細でなお強い織り生地
そして、編み上げた物がこちらだ。
どうだろう。とても柄が繊細であり
それに反してしっかりとコシがあり厚みがある生地。
表面は柄に応じて凹凸がある。
今回は とても貴重な経験をさせていただいた。また丁寧にご解説いただき
あらためて職人さんにお礼をいいたいと思う。
町屋の建物を出ると おもてには、人力車が止まっていた。

博多人力屋のサービス。
昔の博多の商人はこんな風景で生活していたのだろうか。
そんな思いをはせながら この記事をまとめたい。
町屋ふるさと館 博多織独自体験 まとめ
この工程を 口でまとめるのは難しい。
長くの歴史と 多くの人の手を介して今の成熟した博多織がある。
そこで、私の今日の経験をここだけのまとめと させていただく。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
ふるさと館 博多織まとめ
- ふるさと館は手織の経験ができるので稀少
- 平博多織の機械がある
- 博多織りは他にも多数の織り方がある
- 博多織は貴重な伝統工芸品
- 糸や織物、織機に無断で触るのは止めよう
- 平博多織は織り構造が 分かりやすい
- 杼(ひ)は緯糸(よこいと)を通す木製の針
- 杼(ひ)は緯糸(よこいと)が中に捲かれいる
- 筬(おさ)は櫛状のもので緯糸を織り込むもの
- 踏み木(ふみき)はペダルのようなもの
- その踏む場所で開く綜絖(そうこう)が変わる
- 織柄により踏み木(ふみき)を踏み順が変わる
- 踏み木(ふみき)は基本4本ある
- 平織機は理解し易いよう2本に結わえてあった
- 職人さんにお願いして博多織の体験をしてみよう
追伸
博多織を見た 町屋ふるさと館の目の前。
そう櫛田神社では 今日も桟敷席の解体がおこなわれている。
清道に大型のクレーンが入っているのには驚いた。

取り壊されている清道の桟敷席

やぐらの太鼓は外され、撤去を待つばかりだ。
その風景と
また 山笠期間中のキャナルシティの噴水広場の風景を
ここに記しておこう。

先日まであった飾り山笠。表。

アビスパ福岡の見送り。井原監督がいる。
そして 山笠ファンの方に まだお見せしたい物がある。
それは キャナルシティ噴水広場前に展示されていた、山笠記念手ぬぐいの数々。

平成28年 各流の記念手ぬぐい。

記念手ぬぐいも こんなに美しい。

飾り山笠の手ぬぐいもある。
その現在のキャナルシティを見て、帰路につくことになった。
これが 今日のキャナルシティ噴水広場だ。
現在は すっかり何もない。いつもの風景に戻っていた。
ここで大道芸やサーカス、ライブなど様々なイベントが
ほぼ毎日行われている。
(※ 2016年7月17日現在も櫛田神社は、飾り山笠が飾られている。)